■ VASSALLO® GT 14シリーズについて

VASSALLO GT 14シリーズは0.014-inchの末梢血管治療用ガイドワイヤーであり、現在7種のラインナップを有する。ナイチノール・ステンレスのハイブリッドコアによりトルク性能と耐久性の両立を図ったものがNS1/NS3である。

「VASSALLO® GT 14 NS1」

■ 規格

・外径: 0.014-inch

・先端荷重: 1g

・ポリマージャケット+親水性コーティング

・コア部分:ハイブリッドコア(ナイチノール+ステンレス)


■ 特徴

・優れたトルク性能 ・高い耐久性 ・滑りの良さ


■ NS1使用時のtips

先端部はナイチノールコアと二重コイルにより優れた耐久性を有する。シェイピング後に徐々に形状が戻るためメモリー性能が悪いという印象を受けるかもしれないが、筆者はそれは必ずしも欠点ではないと考えている。

①分岐選択のため大きなセカンドカーブをつけたとき、

②マイクロカテーテルやバルーンを押し込んだ際に先端部が変形してしまったとき、

③ナックルワイヤーで使用したときにおいても、比較的ストレートな形状に戻りやすくトルク性能も保持される ため、

そのままworkhorse wireとしての使用継続が可能であるのはVASSALLO GT 14 NS1の大きな利点の一つである。

症例1 Trans-collateral, trans-pedal, loop-wire

60歳代男性、糖尿病 足趾/踵潰瘍

治療前の造影では腓骨動脈(PA)1本が開存し、前脛骨動脈(ATA)と後脛骨動脈(PTA)は近位部から閉塞していた(図1)。

PAからの側副路を介して足背・足底動脈は描出されている。

まずATAへの順行性ワイヤリングから開始した。VASSALLO GT 14 NS1( 以下NS1)によりATAを選択してマイクロカテーテルを進めた( 図2 A )。

C T O 入口部は固くN S 1 が進まなかったため、VASSALLO GT 14 NS3( 以下NS3)を使用して、CTO内への進入に成功した( 図2B)。

ATAはlong CTOでありここでtrans-collateralによる逆行性アプローチを追加した(図2C: PAからの先端造影)。

先ほど使用したNS1をPAから側副路に進め、ATA遠位部に逆行性に通過させた(図2D)。

CTO出口部も固かったため、NS3によるドリリングでCTO内を逆行性に進め、NS3がスムーズに進まなくなった時点で順行性にNS1でドリリングを開始。

幸い両ワイヤーが近接したため(図2E)、最後はNS1を逆行性マイクロカテーテル内にランデブーした(図2F)。

ATAをバルーン拡張後に、NS1を用いてtrans-pedal approachに移行した。

NS1は足背動脈からpedal archを介して容易に外側足底動脈に到達した(図3A)。

PTAも長区域CTOであり、NS1によるループワイヤーテクニックで逆行性に進めた(図3B)。

順行性にはNS3を進め、ループワイヤーで形成した腔に逆行性に入ったためランデブー(図3C)。

PTA閉塞部に対してもバルーン形成を行い、ATA/PTA両者の血流を得て手技を終了した(図3D,E)。


Point :

NS1を使用したループワイヤーでは、少しずつ組織を剥離するようなイメージで進めワイヤーが少し進んだらマイクロカテーテルを追従させることでループが大きくならないように進めるようにしている。

症例2 Trans-collateral, loop-wire, trans-pedal

70歳代男性、糖尿病 外顆/下腿/足底部潰瘍

治療前の造影ではATAは遠位部まで良好に開存しているが、足背動脈が閉塞している(図4arrows)。

側副路を介して足底動脈が描出されるがPTA近位部の情報ははっきりしなかった (図4)。

PTA近位部の情報が不明であるため、可能であれば逆行性ワイヤーを近位部まで上げて目印にしようと考えた。

ATA遠位からの側副路は近位で強い屈曲を認めたがNS1で慎重に操作したところ、内側足底動脈への通過に成功した(図5A,B,C)。

CTO出口部からNS1によるループワイヤーで進めたところ、ワイヤーはPA側に進んでいき、この時点でPAから足底動脈につながるvariantが判明した(図5D,E)。

ワイヤーとマイクロカテーテルがPAのlumen内に抜けたため、NS1を順行性に持ち込みランデブーした(図5F)。

PAに対するバルーン拡張後、足背動脈に対する治療に移行した。

外側足底動脈からpedal archにNS1を進め、閉塞遠位端に到達(図6A)、NS3に交換してドリリングしたところ逆行性に閉塞部に進入した(図6B)。

順行性にNS1を持ち込み(図6C)、レトロ側のマイクロカテーテル内へのランデブーに成功した(図6D)。

足背動脈に対してもバルーン拡張し、最終造影ではATA/PA両者の良好な血流を確認した(図7)。


Point :

屈曲した側副路を通過させ、更にループワイヤーで使用したにも関わらず、NS1先端形状はそれほど変形しておらず(図5F)、トルク性能も保たれていた。

そのためその後のランデブー・trans-pedal wiring・2回目のランデブーまで問題無く使用することが出来た。

■ まとめ

  • 下肢動脈、特に膝下病変の治療においては先端荷重の軽いコーティングワイヤーをいかにうまく使うかが治療成功あるいは手技時間の短縮において非常に重要である。
  • VASSALLO GT 14 NS1はファーストチョイスワイヤーとしての使い勝手に非常に優れており、狭窄病変のみならず複雑病変/CTO病変治療においても多用している。
  • 今回はNS1とNS3、2本のガイドワイヤーで治療を完遂し得た2症例を提示したが、当然ながら全ての病変を同様に完遂できるわけではなく、G14/G40などのpenetration wireも含め、適材適所での使い分けが重要である。

■ 使用製品

VASSALLO® GT 14 NS1/NS3

販売名:HB-IVRガイドワイヤⅡ

承認番号:23000BZX00134000 

VASSALLO® GT 14 Floppy/Support/G14/G40

販売名:HB-IVRガイドワイヤー

承認番号:21300BZZ00438000 

VASSALLO® GT EXT

販売名:エクステンションワイヤ

承認番号:23000BZX00054000  

製造販売元:フィルメック株式会社

  • VASSALLO®は、フィルメック株式会社の日本国およびその他の国における商標又は登録商標です。
  • 製品のご使用にあたっては、電子添文又は注意事項等情報をご確認ください。

加藤 拓 先生

洛和会音羽病院 

CJR0814-01-20229