膝下複雑病変に対して VASSALLO® GT 14 NS1で挑戦する
森之宮病院 福永 匡史 先生
■はじめに
組織欠損を有するCLTI患者の治療を積極的に行う施設が増え、血管内治療に従事する血管内治療医も増えている。
各社デバイス開発は盛んであり、その代表ともいえるのがガイドワイヤー開発である。血管内治療は病変をワイヤーが通過するということが絶対条件であり、術者に満足のいくワイヤーは、すなわち血管内治療の成功率の向上を意味する。
今回、組織欠損を有する2例の患者にVASSALLO GT 14 NS1を使用し良好な結果を得た症例を経験したので共有したい。
CASE 1 足底動脈弓から足底動脈への通過性に優れていた症例
年齢:50歳代 男性
所見:ミギ踵潰瘍、(Rutherford分類6)
冠危険因子:高血圧、糖尿病、脂質異常症、維持透析中
一般的にはループをワイヤーが通過した後は、蛇行が解除される症例が多いが本症例では蛇行が解除されることは無く、そのままの状態でワイヤーを操作する必要があった。
しかし、図2Bに示すようにワイヤーは外側足底動脈にスムーズに通過し、その後も図2Cに示す部位までワイヤーは通過しマイクロカテーテルの追従を行う事ができた。
病変遠位部のワイヤー操作が困難であり、図2Dのようにナックルワイヤーテクニックでワイヤーを操作したが、その際も図2Eに示すように先端の形状は破壊されることなくワイヤー操作を行う事が出来た。
ワイヤー通過後は踵までの血流を確認し手技終了している。
■考察とまとめ
虚血性創傷を治療するうえで、血行再建術は必要な治療であり、ワイヤー通過は必須の作業である。
様々なワイヤーが各企業の努力で作成されているが、今回使用したVASSALLO GT 14 NS1は先端部の通過性と耐久性を兼ねそろえたデバイスである。
蛇行血管を治療する際はワイヤーに血管蛇行と同様な曲がりの癖がついてしまい、それ以上の追従が困難になる場合がよくある。
しかしVASSALLO GT 14 NS1は、二重コイル構造により耐久性が高くコーティング長も長いために、本症例のような複雑血管にもトルク性能を落とすことなく使用できている。
1stワイヤーとしての能力が非常に高いワイヤーの一つである。
また、先端がループ状に変形したり、意図的にナックルワイヤーにしても、直線化した後の先端の形状が元の状態に維持できる点で他社製品よりも使用感が良い。
CASE 2 高度石灰化及び高度屈曲の足関節領域の治療に有用であった症例
年齢:70歳代 男性
所見:ミギ第1足趾潰瘍、壊疽(Rutherford分類5)
冠危険因子:高血圧、糖尿病、脂質異常症
■病変情報
ABI検査(患肢):0.79
SPP検査(患肢):足背側 28mmHg、足底側 20mmHg
■手技手順・方法
本症例はミギ第1趾先端に潰瘍、壊疽を伴っており、血行再建後に足趾断端形成術を行うことによって創傷治癒が見込まれると考えられた。
手技に関しては下記のとおりである。同側大腿動脈穿刺による順行性アプローチとし、4.5Frガイディングシースをミギ膝窩動脈まで進め造影を行った。
■造影検査(図1A,B参照)
前脛骨動脈;腓骨動脈が足背動脈に還流する解剖学的異常を認める
後脛骨動脈;足関節周囲で高度石灰化に伴う閉塞(図1B)
足底動脈;外側足底動脈は閉塞しており、内側足底動脈は入口部の高度石灰化を認めるが遠位部の開存を認める(図2A)
■血管内治療計画、治療内容
創部が第1趾であり直接流入する血管は内側足底動脈であることから、治療は内側足底動脈への血流改善をエンドポイントとして治療開始した。
石灰化は高度であるが狭窄病変であることから、まずマイクロカテーテルを使用しステンレスワイヤーを後脛骨動脈に挿入した。しかしワイヤーの先端が石灰化部分にトラップされ通過困難であり、また屈曲部への侵入も困難であった。
次いでVASSALLO GT 14 NS1に変更し手技再開している。
図2Aに示すように血管壁の石灰化と一部内腔に突出する石灰が存在している。
図2Bに示すように高度屈曲部分にワイヤーを挿入するが、内側足底動脈は屈曲部位の遠位部から分岐しており、なかなかワイヤー先端が内側足底動脈方向には向かない。
そこで可能な限りマイクロカテーテルを追従させ(図2C)引き抜く際に血管を直線化し同時にワイヤー先端を内側足底動脈方向に操作した(図2D)。
ワイヤー先端が内側足底動脈に挿入できたところで先端がナックル状になったが(図2E)、そのまま抵抗ないためにワイヤーを末梢まで通過させた(図2F)。
■考察とまとめ
高度石灰化病変においては、中膜側の石灰化が著明なだけでワイヤー操作が容易である場合があるが、内腔に突出する石灰が存在する場合はワイヤー操作が非常に困難になる。本症例のように内腔に突出する高度石灰化病変および高度屈曲を有する病変においてはワイヤーの性能は非常に重要である。
VASSALLO GT 14 NS1はコーティング長が長く屈曲部の摩擦抵抗を下げ、そしてシャフトの剛性も調整されているためにトルク性能が非常に良い。
本症例のように屈曲を越えた直後に分岐がある症例は、ワイヤー通過が困難である。また本症例においては外側足底動脈が閉塞している事から、外側足底動脈にワイヤーを挿入し病変を直線化する事も困難であった。
VASSALLOGT 14 NS1は先端のトルク性能が高いため、内側足底動脈にワイヤーを通過させることが可能になり、またその後のワイヤー挿入も容易に行う事が出来た。
ワイヤー通過後も、シャフトの安定感があるためにデバイス通過を何とか行う事が出来た症例である。
■最後に
VASSALLO GT 14 NS1は上記にも記したように、膝下動脈領域におけるEVTの際にfirst choiceの一つとなるワイヤーと考える。
もちろんそれ以外のopen vesselの病変に対しても、先端荷重が軽く安全に使用できる。
ワイヤーは各術者が手に馴染んだ物が最も良いと考えるが、このVASSALLO GT 14 NS1は各術者の手にすぐ馴染むワイヤーであると思われるので、是非使用し、複雑病変に挑戦していきたい。
■使用製品
VASSALLO® GT 14 NS1
販売名:HB-IVRガイドワイヤⅡ
承認番号:23000BZX00134000
製造販売元:フィルメック株式会社
- VASSALLO®は、フィルメック株式会社の日本国およびその他の国における商標又は登録商標です。
- 製品のご使用にあたっては、電子添文又は注意事項等情報をご確認ください。
福永 匡史 先生
森之宮病院
CJR0818-01-202210